君はあたしの天然王子
「美奈とまた付き合いたいんだ」
先輩はいつになく真剣な目であたしを見つめてきた。
あたしは目線を下に向ける。
「先輩…勝手なこと言わないで下さい!あたしには…彼氏が…尚陽くんがいるから…先輩を選ぶことは出来ません。」
「もう…あんなことしないから。約束する。美奈を大切にする…」
あたしは先輩に目線を移した。
「あたしは尚陽くんが好きなんです。先輩とは付き合えません」
あたしは静かに背を向けて去ろうとした。
…が、先輩に手首を掴まれた。
「…離してください」
「オレ、美奈の連絡先まだ削除してないよ」
先輩…やっぱり…
「オレから連絡する。また美奈からも電話してよ」
「先輩…」
そう言って先輩は去っていった。