君はあたしの天然王子
「そ…それはっ…」
「美奈だって…先輩に未練あるんじゃないの?」
「ち…違っ…」
「美奈、この頃スネ夫先輩と一緒に居ること多いし…気になってるんじゃないの?」
「尚陽くん…」
「ゴメン。オレ…先帰る」
尚陽くんは、あたしの横をスッと通り過ぎていった。
あたしは足の力が抜けていく気がした。
へなへなっと地面に座り込んでしまった。
どうしよう…
あたし、尚陽くん怒らせた?
尚陽くんに嫌われた?
どうしよう…
自然に涙が溢れてくる。
涙が頬を伝って、廊下に落ちては消えていく。
「あたし…バカじゃないの…?」
嫌われた…
どうして、ちゃんと訳を言えなかったんだろう…。
あたしは顔をゆっくり上げた。
すると、あたしの視界に、誰かが立っていることに気付いた。