君はあたしの天然王子
「尚陽くん~!?」
はぁ…あたしって、つくづく、ついてない…。
どうしよう…
あたしはケータイを取り出して、尚陽くんに電話しようとした…
―すると…
「みーなっ!!」
「!?」
ほっぺたに柔らかいものが押し付けられた。
「尚陽くん!!居た!…ってゆうか…なにこれ?」
あたしの頬に触れたのは、ふわふわしたマンボウのぬいぐるみだった。
「だぁーって…電車の中で美奈、楽しそうじゃなかったから…。喜ぶかな?って思って!」
「尚陽くん…」
そっか…急に居なくなった訳は、このぬいぐるみ買ってきてくれたからなんだね。
あたしを喜ばせるために…
「尚陽くん…」
「何?」
「ごめんね」
「えっ…」
「ありがとう!」
すると、さっきまでいじけていた尚陽くんが笑顔になった。
「どーいたしまして!ほら、早く行こう?」
尚陽くんが差し出した右手を、あたしはキュッと握った。