君はあたしの天然王子
ここは…あたしの出番じゃないですか?
尚陽くんに片想いしてた時に、ずっとずっと応援してくれてたし…
今度は、あたしが佳奈美の背中を押す番じゃない!?
既にあたしの中では何かが燃え上がり、佳奈美の恋を実らせることしか考えてなかった。
あたしは二人を邪魔しないように、廊下の隅でじっとしていると…
「美奈?何してんの?」
顔を上げると、マフラーを巻いている尚陽くんの、きょとんとした顔。
「しっ!!静かに!」
「?何で?」
尚陽くんはドアに手をかけた。
「ダメ―!!」
あたしは小声で叫んだ。
今はいい雰囲気なんだから、邪魔しちゃダメなの!!
「ねぇ美奈、どうかした?」
尚陽くんがあたしの顔を不思議そうに除き込んできた。