君はあたしの天然王子
「ごめんね。何だか暗い話しちゃって…」
「別に良いよ」
「じゃあ、あたしそろそろ行くね」
そう言い残して、佳奈美ちゃんは駅とは反対方向に歩いていった。
オレは心を落ち着かせるために、メロン味の飴を舐めた。
「うん、美味しい」
大好きな人に裏切られたら…かぁ。
美奈に裏切られるだなんて、そんなこと一度も考えたことなかった。
もし美奈がいなくなったら…もし美奈が消えちゃったら…
オレは、どうするだろう?
オレがヒーターなら、美奈は灯油で、二人が一つじゃないと駄目なんだ。
そう思うと、胸が軋んだ。
今頃美奈…怒ってるかな?泣いてるかな?
電話しても…嫌われてたらどうしよう…
うわぁぁぁ!!
神様 仏様 飴の神様!
オレは…どうしたらいいんだ!?