君はあたしの天然王子
「美奈…あたしの話、聞いてくれる?」
「…うん」
佳奈美があたしから体を離す。
「あたしね、中学のときに初めて彼氏が出来たの。年上でね、凄く優しくてカッコよかった。」
佳奈美が鼻をすする。
「でも、ある日…その彼氏が浮気してたことが分かって、ついカッとなっちゃって、彼氏に問い詰めたの。
そしたら…彼氏がっ…『お前のことなんか一度も好きじゃなかった』って…言ってきてっ…
つらくて…く、苦しくてっ…」
「……」
「また誰かの…おもちゃになるくらいだったら…恋なんてしないほうが良い……」
「そんな…」
「だからっ…啓吾くんのこと…っ好きだけど…また、辛い思いするのは…嫌だから…」
涙をボロボロと流す佳奈美を見つめながら、あたしの目からも涙が溢れだす。