君はあたしの天然王子
そんなあたしの心配はよそに、翌日、二人は手を繋いで登校してきた。
実は、ずっと前から啓吾くんも佳奈美のことが好きで、昨日佳奈美が告白したら(がんばった!)、見事両想いに。
もう、本当に世話のやける奴なんだから!
「ありがとう美奈。啓吾くんと付き合えるなんて夢みたい。」
「ははは。ありがたく思ってよね!」
そう言うと、佳奈美が肘であたしを小突いてきたから、あたしもやり返した。
大好きな人が隣にいること、大切な友達が側にいること、
当たり前だけど、決して当たり前だとは思っちゃいけない存在。
そんな人たちだからこそ、これからも一緒にいれたらいいな。
佳奈美と尚陽くんを見てたら、そんな気持ちになった。
「尚陽くん、大好きだよっ」
あたしは隣にいる尚陽くんに囁いた。
「……」
「尚陽くん?」
げっ!
こいつ、立ったまま寝てる!
なかなか上手くいかない世界だけど、だからこそ経験できることも少なくないのかも。
ね、天然王子?
立ったまま寝る尚陽くんが、愛しくてたまらないんだ!