君はあたしの天然王子
ファミレスに入ると、由陽さんはすぐに口を開いた。
「実は、美奈ちゃんに相談じゃないけど…聞いてほしいことがあって。」
「聞いてほしいこと…?」
由陽さんの視線が、まっすぐにあたしの目を捕らえる。
「あたし、3ヶ月後には結婚していて、大阪にいる。」
「……」
「結婚して、新しい土地での生活…。不安もあるけど、それ以上に期待してるの。」
「はい…。」
「でも、大阪に行けば仕事も忙しくなるし、滅多に東京には帰って来れなくなるわ。」
「……」
由陽さんの目が涙ぐんでいる。
思わず、あたしも俯いてしまう。
「だから、美奈ちゃんにお礼が言いたかったの。」
「えっ…?」
あたしにお礼…?
「あたし、美奈ちゃんには感謝してるの。感謝しきれないくらいに。」