君はあたしの天然王子
―12年前…
『おにーたん、あたし“白い花”探しにいきたい!』
『どうしてだよ?』
『お願い事、かなえてもらうの。みんな元気で過ごせますようにって!』
あたしは絵本をお兄ちゃんの前に突き出した。
『…いいよ!行こう、みな!』
あたしとお兄ちゃんは、お父さんやお母さんに頼んで、近くの山まで連れていってもらった。
山に着くと、さっそく“白い花”探しが始まった。
『おにーたん、“白い花”こっちじゃない?』
『ばか、こっちだよ』
お兄ちゃんが指差す方は、木が生い茂っていて、真っ暗だった。
『でも、そっち怖いよ』
『大丈夫だよ。いこう!』
あたしとお兄ちゃんは手を繋いで、その茂みの中に入っていった。