君はあたしの天然王子
*9* 恋に必要なモノ
あたしは泣き顔のまま家に帰った。
あ…家には誰も居ないみたい…
良かった…こんな泣き顔、いくら家族でも見られたくないもん。
と思ったら…
「美奈ぁぁぁ!!?どうして泣いてるんだぁーー!?」
「お兄ちゃん!?」
ゲッ…居たんかい。
「なんで泣いてんだ!?イジメか!?」
「違うよ…そんなんじゃない」
何でよりによって、こんな日にお兄ちゃんが居るのよ…最悪。
「何だ?失恋か?」
「ッ………」
「え?マジ?」
あたしの目からは また涙が流れてくる。
「もう…無理だもん。ほっといて」
あたしが二階に行こうとしたら、お兄ちゃんに手首を掴まれた。