~恋に気付くとき~


あたしの左手の中指に光るもの。


「トール…ちゃん?」

指輪だった。


「あっ…。失敗した。薬指にハマったと思ったのに…。」

照れくさそうに、あたしの中指から指輪を外して、薬指にハメなおすトールちゃん。


あたしは、黙ってその動きを見つめていた…。


「もしかして…?」


「これ、買うためにバイトしてたんだ…。短期で稼ぎたかったから、目一杯働いて。卒業生送る会もいかなかった。結が聞いた女の声はバイト先の先輩。さぼって電話してたから、あのあとガッツリ怒られた。」


「結……ほかにご質問は?」
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