コイマン
クリスマスに何かあるだろうな…とは思っていたけど案の定、どさくさに紛れて手を繋がれ、帰りに私の自宅前で抱き締められて告白。
『俺と付き合えよ』
そうそう、この人の台詞…というかいちいち言う言葉が何か、今まで読んできたドS系イケメンの少女漫画のような台詞ばかりで、あんなに夢見た台詞がこうも気分を害するのかと思うほどに彼は言うのだ。
だからその時も断ろうと思ったが向こうが『いいやろ?』と迫ってくるばかりに断り切れず、付き合う形になってしまった。
よくセールスとかでも上手く断れないのが私の悪い所。
その後、急にキスをしてきてかっこよく自転車で帰る彼を見送りながら私はこっそり唇についた彼の唾液と感触を拭い取った。
そらからというもの、毎日のように他愛のないLINEが続き、私がバイトの度に彼は迎えに来た。
その中で一度、公園に寄りたいと言われ嫌な予感がしたがまたもや断り斬れず、誰もいない静寂しきった暗い公園に自転車を停めた。
あのときはもう、胸キュンの“む”の字すらなかった。
ただただ、キスをしようと、甘えようと迫る彼からバレないよう逃げるのに必死だった。