君待ち人
prologue ―記憶―
幼い頃、近所に住んでいた男の子と仲が良く、よく遊んでいた。
毎日が楽しくて、こんな日々がずっと続いていくのだと疑わなかった。
けれど、男の子が引っ越しすることになり、幼い期待は打ち砕かれる。
『また戻ってくるから、そのときは……』
引っ越す前。
寂しがる私に、その男の子はあどけなく微笑んだ。
『僕の彼女になってね。大好きだよ』
“彼女”という存在が何なのか、その時はまだお互いに全然わかっていなくて。“大好きな人とずっと一緒にいる人”と曖昧に思っていた。
だから私は、『うん……うん……っ!』と泣きながら何度も頷いた。
私も、大好きだったから。
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