君待ち人




つぶらな瞳がチャームポイントの、なよなよした男の子。


その子のあだ名は、そう、「しーくん」だ。




『なぁに?』



しーくんは、こてん、とあざといくらい可愛く顔を傾けた。


泣き虫っぽくて、臆病そうで、本当に弱々しい。

印象は、まるで女の子のような男の子。




『ううん、なんでもない。あの公園に行こっ』


『うんっ』




完全に眠気が飛んだ私は、立ち上がって、しーくんの幼い手を握った。




あの公園とは、あの桜の木がある若葉公園。


その公園は私としーくんのお気に入り。遊ぶといったら、その場所以外ない。



私は、いつもそこでしーくんと遊んで、思い出を作っていた。






「あ、桜が咲いてる!!」



公園に到着するやいなや、しーくんが桜の木を指差した。




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