君待ち人





四月、私の誕生日の日。


私の家を会場に、しーくんの家族と私の家族で、私の誕生会を催してくれた。




『おめでとう、桜ちゃん!』



しーくんから、抱えきれないほど大きな大きなくまのぬいぐるみを受け取った。


プレゼントはいらないと言ったのに、用意してくれたんだ。



『ありがとう、しーくん』



そう言って、しーくんのほっぺにキスをする。


子どもだからできたその行動は、お母さん達を驚かせた。

しーくんも少なからずびっくりしていたが、すぐに笑顔に変わった。





『しーくん、お祝いしてくれてありがとう』


『僕、桜ちゃんにたーくさんお祝いできた?』




自信なさげに眉を下げるしーくんが愛しくて、衝動的に抱きついた。



『桜ちゃん?』


『しーくん、大好きっ』



たーくさん、お祝いしてくれたよ。ありがとう。



恥ずかしいとか照れくさいとか、そんな感情は一切湧いてこなかった。


在るのは、キラキラとした純粋な想いだけ。



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