君待ち人
「ね、ねぇ、桜!会長と知り合い?」
「えっと、知り合いっていうか、何ていうか……」
知り合いっていうほどそんなに親しくはない。たった一、二回話しただけだ。
それだけの他人行儀な間柄の会長が、私に何の用だろう。
「……えっと、何か用ですか?」
「もしよかったら放課後、生徒会室で私のお手伝いをしてもらえない?」
「え……?」
最初は少し身構えていたが、会長の頼みにポカンと固まってしまった。
え?
生徒会長の、お手伝い?
「別に構いませんが……」
「本当?ありがとう。それじゃあ、放課後に」
会長は軽くお辞儀をして、私の前から去っていった。
なんで私なんだろう。
会長のお手伝いなんて、誰でもできるはずなのに。むしろ、一年生の私より他の先輩に頼んだ方が、役に立つんじゃ……?