君待ち人
凛とした声のトーンは、戦慄した私の心と、不思議なくらい波長が合った。
凪雲先輩の幸せのために、彼を好きにならない。
そんなの、忠告なんかじゃない。
好き“だった”人を守る、切ないお願いだ。
会長は、凪雲先輩のためなら傷つく覚悟ができてる。
会長は決して強いわけじゃない。だけど、強くなろうとしている人だ。
大丈夫。凪雲先輩を好きになんて、なるわけがない。
私はずっと、ずっと、初恋の男の子を想ってきた。
今更、他の人に心移りなんかしない。
……なのに、おかしいな。
どうして、こんなに動揺しているんだろう。
「凪雲くんには幸せになってほしいの」
「……」
「私は、心の底から笑う凪雲くんが見たいの」
会長が本当に彼を好き、ううん好き“だった”ことが、ひしひし伝わってくる。
純真で一途な失恋を抱えてる会長は、きっと悲嘆を叫びたがっている。