君待ち人
こういう時、私はなんて言えばいいんだろう。
思考回路を巡る言葉は、どれもイマイチで。黙り込むしかなかった。
こんなに必死な会長に対して、私は?
私は凪雲先輩に、どう向き合えばいいの?
一向に開く気配のない自分の唇に、無意識のうちに歯を押し当てていた。痛みなんか、どうだってよかった。
彼の憂いを、少しでも晴れやかに変えたい。
思うのは簡単だ。だけど、私は……。
私のできることって、何?
ただ知りたい。それだけでしょ?
会長の言う「凪雲先輩の幸せ」は、私なんかにどうこうできる問題じゃない。
凪雲先輩の幸せがどんな形をして、どんな色をして、どんな風に輝くのか、私には想像できない。
けれど、それは、凪雲先輩自身だけでなく、会長にとっても大切なことで、会長の幸せにも繋がるんだ。
私に何ができるのか、今はまだヒントも掴めていない。
それでも、私は、彼の辛そうにしてる心に近づきたいんだ。
理由とか原動力とか、そんなものは、私自身も明確にできていないけれど。
私だって、彼が心から笑う姿が見たい。
私だって、彼の幸せを願ってる。