君待ち人





「守りたい奴ができたら、自然と勇気が出るんじゃねぇの?」


「守りたい……人……?」




私にとって、守りたい人は誰だろう。


私は涙を拭って、目を閉じ考えた。




夜空に一番星が灯るように、真っ先に頭に浮かんだのは――苦しそうに微笑む凪雲先輩だった。




傷の深さに溺れる彼を守りたい。


大雨を避けない彼を守りたい。




私は非力で、無神経で、臆病で。一丁前に彼を支えるなんてこと、できっこない。



だけど、守りたいんだ。


彼の幸せのために、約束のために。





だからちょっとだけ。


たった一ミリでも構いません。



私の心に、勇気をください。




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