君待ち人




家には帰らず、再び公園に来た。


きっと、この公園が全てのスタートライン。




私は凪雲先輩に「一歩、近づいてもいいですか?」と想いを届けられるだろうか。



非力な手のひらをギュッと握る。



怖い。

本当は、ものすごく怖い。



拒否される。

迷惑がられる。

届けても、届かない。



もしそうなったら。


そう考えるだけで、逃げたくなる。




枯れた桜を散らしたみたいな表情をした彼に、言えるのかな。言えなかったらどうしよう。




私が一歩踏み出して彼の心に入ったとして、彼を辛い思いにさせ、拡がった傷を我慢させはしないだろうか。




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