君待ち人
たった一歩、されど一歩。
ちっぽけなはずの一歩分を進むことが、ひどく難しい。
彼の心の前まで来るだけで一苦労。
彼の心にいざ入ろうとして、二歩戻る。
あぁ、情けない!
境界線の向こう側は見えるのに、どうしてこうも臆病になってしまうんだろう。
せっかく白河くんが気づかせてくれた気持ちも、せっかく生まれた勇気も、水の泡にしたくない。
「凪雲先輩が幸せになってほしいだけなのに……」
どうして私は、動けないんだろう。
ダメじゃん、私。
弱さを脱却して、強くなりたい。