君待ち人




弱いままじゃ、彼に光をもたらせない。




こんなに自分が弱虫だったなんて気づきたくなかった。


今泣いていいのは、私じゃない。




震えるな。怖がるな。

ひよらずに進んでよ、三吉桜!



頑張るって決めたでしょ?緋衣ちゃんからエールをもらったでしょ?



なのにどうして私は、ここで立ち止まってるの?





「凪雲先輩……」




私はあなたに、近づいてもいいんでしょうか。


私はあなたの黒ずんだ苦しみに、触れてもいいんでしょうか。





あなたを守りたい自分勝手な私を、たとえ嫌がられても、どうか拒絶しないで。




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