君待ち人
今日は、花丘高校の文化祭。
私のクラスは、コスプレ喫茶をする。
「緋衣ちゃん可愛い!」
「えー、桜の方が可愛いよー!」
緋衣ちゃんが着ているのは、悪魔の衣装。
ボトムスは、しっぽのついた黒のショートパンツ。トップスは、悪魔の翼がついた黒のトップス。頭には、角のついたカチューシャが飾られている。
緋衣ちゃんが着ると、悪魔は悪魔でも、可愛い小悪魔に見えるんだよね。
私が着ているのは、天使の衣装だ。
頭には、花かんむり。真っ白のシフォンワンピースの背中には、天使の翼が装飾されている。
ゆるく巻かれた髪を、照れ隠しにいじる。
天使なんて、私にはまったく似合ってない。
文化祭が始まって、コスプレ喫茶にはお客さんがたくさん来てくれた。
「いらっしゃいませ……って、会長!」
「久し振り、三吉さん。天使の衣装?すごく似合ってるわね」
私が入り口で接客していると、なんと会長まで来てくれた。
美人な会長に「似合ってる」と褒められても、お世辞にしか聞こえません。
私は苦笑いしながら、空いている席へと案内した。