君待ち人




私は、彼を幸せにするための手伝いがしたい。



だけど、まだ勇気が足りない。

今もなお、震える足でなんとか踏ん張っているだけ。



境界線の手前から動けずにいる。




会長はオレンジジュースを少し飲んだ後、口を開いた。




「あなたがこれからどう動こうと、あなたの自由よ。だけど、絶対に凪雲くんを不幸せにはしないで」




真剣な口調でそう言って、オレンジジュースを半分も残したまま、ここから立ち去った。


後ろ姿は凛としていて、私みたいに自分の行動に迷ったりしない、強い覚悟を持っていた。




私が動いたら、凪雲先輩を不幸せにしてしまうのだろうか。私がこの手で凪雲先輩の幸せを守るどころか砕いてしまうんだろうか。



そう思えば思うほど、怖くなった。

動きたくても動けない。



私には覚悟も足りていない。




「桜?何してんの?」


「あ、ごめん。ボーッとしてた」


「桜ってば、ちゃんと接客しないとダメじゃん」


「ごめんごめん」




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