君待ち人
そうだ。今は、接客しないと。
クラスメイトに迷惑をかけるわけにはいかない。
私は気合いを入れ直して、接客を再開した。
いらっしゃいませ、と作り笑顔の仮面を装着する。
私、ちゃんと笑えてるかな?
笑顔を作ることって、こんなに難しかったっけ?
「三吉」
「白河くん、何?」
「大丈夫か?」
「……え?」
接客の途中、白河くんが心配そうに顔を覗いてきた。
私の笑顔、心配されるほどぎこちなかったかな?
「大丈夫だよ」
「そ、っか。ならいいんだ」
ダイジョーブ、ダイジョーブ。
凪雲先輩がずっと待ち人を待っているのに、私が彼の心に触れる前に倒れるわけにはいかない。
私は「大丈夫」と自分の心に言い聞かせて、自分自身をも騙した。