君待ち人




文化祭の盛り上がっている雰囲気よりも、この公園で彼と一緒に彼の待ち人を待つ、穏やかなこの時間の方が好き。


彼の近くにいられる、この瞬間瞬間が愛おしい。




「ははっ、変わってるね」


「そうですか?」


「そ普通は文化祭の方が楽しいよ」




そうかなぁ?



どんなに文化祭ではしゃげても、好きな人と過ごせる時間の方が楽しい。


それに、彼の心に踏み込んだ今の自分が、好きだ。


何かに怯えてた自分は、もういない。




清々しいくらい堂々としている、今の自分はまさしく“晴れ”。





「桜ちゃんのクラスは、何をしたの?」


「コスプレ喫茶です」


「何を着たの?」


「天使の衣装です。……だけど、すごく似合ってなくて恥ずかしかったです」





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