君待ち人




懐かしいな。


こういう他愛のない話を、前は毎日のようにしてたんだ。



当たり前が当たり前じゃなくなって、普通が普通じゃなくなって。


だけど今、またこうやって彼の隣で笑ってる。




時間って、関係って、不思議だな。

一度終わっても、やり直せる。





「見たかったな、桜ちゃんの天使の格好」


「えっ!?」



見なくて正解だと思いますけど!?



「きっと、可愛かっただろうね」




え……。


凪雲先輩の顔が見れなくて、私は耳を真っ赤にして俯いてしまう。




ずるい。

可愛いだなんて、不意打ちだ。



心臓が、ドキドキうるさい。




好きな人から言われた「可愛い」は特別で、全身に熱がこもる。




「……そんなこと、ないですよ」


反論は想像以上に小さかった。



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