君待ち人
真っ赤な頬を両手で隠しながら、チラリと横目で彼を一瞥した。
今日は、辛そうじゃない。
よかった。
「凪雲先輩」
「ん?」
「ありがとうございます」
お礼をまだ言っていなかったことを思い出し、隣を見つめた。自然と表情がほころんでいく。
ここにまたいてもいい。
そう、許してくれて、ありがとうございます。
たくさんの「ありがとう」が積み重なって、私は今ここにいる。
凪雲先輩のいいところが募って、もっと好きになっていく。
私の笑顔は、もう偽りのものじゃない。
本物の、心の底からの笑顔だ。
彼の隣にいるから、こんなに温かな気持ちになっているのかな。