君待ち人
彼の待ち人
次の日。
目覚めは最高によかった。
授業にもちゃんと集中できたし、お弁当の出来もよく、充実していた。
「こんにちは、桜ちゃん」
「こんにちは、凪雲先輩」
あっという間に放課後になった。
公園へ行き、いつもの挨拶をしながらベンチに座る。言わずもがな、わざとらしい間などない。彼の隣だ。
「凪雲先輩、聞いてもいいですか」
今日は、もう一歩前進すると決めていた。
凪雲先輩を知るために。
凪雲先輩は驚くこともためらうこともせず、「いいよ」と頷いてくれた。
「凪雲先輩の待ち人って、誰ですか?」
「……大切な、子なんだ」
途中でつっかえた返答に、ヒュッ、と喉から息が漏れる。
脳裏には、病院で眠っていた女の子が過っていた。
「海っていう女の子を、俺は待ち続けてる」