君待ち人
ううんと首を横に振る海に、空は『どうして?』と問いかける。
『生徒会役員とか柄じゃないし。それに、私には二人の活躍を見守るっていう、だーいじな使命があるからね!』
『ふふっ、何それ』
『そんな使命、誰が決めたんだよ』
失笑しつつ尋ねると、『私!』と胸を張って答えた。
それがおかしくて、俺と空は顔を見合わせて大笑いした。
楽しくて、愛しくて、幸せで。
冬の寒さなんかどうでもよくなるくらい、温かかった。
『なんで笑うのー!?』
『海がおかしいからだよ』
『何それー!』
頬を膨らませ、ジト目で睨んでくる。
それがまたおかしくて、笑いが絶えなかった。
海は、いつも生き生きしていて、自分だけでなく周りを明るく照らしていた。
まるで太陽みたいで、俺にはなくてはならない存在だった。
そんな海に、俺は想いを寄せていた。
だけど伝える勇気がないまま、幼馴染という関係を抜け出せずにいた。
たった二文字なのに、想いを口にするのはハードルがあまりにも高かった。