君待ち人
『凪雲くんのことが、好きなの』
ある日の放課後。
俺は空に呼び出され、校舎裏に来ていた。
しんしんと降り積もる雪景色に、空の真っ赤な顔がより際立つ。
え?
雪に侵されて、頭が真っ白になった。
冗談か何かかと思ったけれど、すぐに違うと察した。
空がそんなことするはずない。
きっとこれは、空の本当の気持ちだ。
急に、心拍数が上昇していく。
俺の顔にもうっすら熱が帯びる。
一体いつから、空は俺を想ってくれていたんだろう。
『ごめん』
俺は目を伏せ、一言そう謝った。
俺は、海が好きだ。
その気持ちに、嘘はつけない。