君待ち人




桜のつぼみが、初めての恋のハッピーエンドを祈っているようだった。



なぁ、空。

俺、海を幸せにできるかな?




――きっと、桜のつぼみは、祈ってなんかいなかった。浮かれている俺を、バカにしていた。



好きな人に告白されるまで、いつまで経っても勇気を出せずに、奥底に沈没させていた弱虫な想いが、後悔に圧し潰される。

そういう運命なんだと、知っていたんだ。







三日後。



『放課後、公園で待ってるからね』



三日前と同じように、昼休みに放課後の待ち合わせを告げられた。


俺が頷くと、海は緩く笑った。




俺も好きだと伝えたら、誕生日おめでとうと祝おう。


そして家に帰って、空と一緒に誕生日会をしよう。



海への誕生日プレゼントは、ハートのネックレス。

コレを選ぶのに苦労した。詳細は聞かないでくれ。




プレゼントをもらって喜ぶ姿を想像して、つい口の端が上がった。






昨日生徒会の仕事を片付けたため、放課後になってすぐ公園に来れた。



『海は……まだか』



海は待ってるって言ってたけど、俺の方が早かったな。




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