君待ち人
今日、やっと、長年募り募った想いが報われる。
俺の中にはもうは、臆病な自分はいなかった。
『遅いな……』
空はすっかりオレンジ色に塗り替わっていた。
海を待って、既に一時間経過した。
さすがに遅い。
何してるんだろう。
『凪雲くん!!』
俺の名前を呼ぶ声が、耳に届いた。
ようやく来たか。
声のした出入口の方に振り向く。
そこにいたのは――空だった。
なんで空が……?
『海が、海が……っ!』
いつもの空じゃない。
取り乱している空を見たのは、海が元カレと別れた時以来だった。いや、その時以上だ。
顔面蒼白で、冷静さを欠いている。
『海が、どうかしたのか?』
『海が……トラックにはねられて……!』
『……え?』