君待ち人
告白
次の日、上の空で受けていた授業が終わり、放課後になった。
私と凪雲先輩は、今日も若葉公園の特等席であるベンチに並んで座る。海さんを待ち焦がれる時間の始まりだ。
「これが、海に渡そうと思ってたプレゼントなんだ」
「可愛い……」
制服のポケットから取り出されたのは、ラッピングされた長細い箱。ラッピングと蓋を外すと、華奢なハートのネックレスが顔を出した。
ハートのモチーフが、キラリとひだまりを反射する。
「ずっと持ってたんですか?」
「ああ、毎日持ってきてた。海がいつここに来ても、渡せるように」
胸の奥が、ヒリヒリ痛む。
凪雲先輩は、今でも海さんのことを………。
「海さん、どうして目を覚まさないんでしょうね」
もう体は治っているのに、どうして。
早く会いに来てほしい。
まだ会いにこないでほしい。
醜い葛藤に、よりいっそう胸を痛めた。
「本人が目を覚ましたくないって思ってるから。……どうしてもそう考えちゃうんだ」
海さんへのプレゼントを見つめていた眼差しを瞼で塞ぎ、そっと箱を閉めた。