君待ち人
「そんなこと、あるわけないじゃないですか」
「え……」
「海さんは目を覚ましたいはずです。だって、凪雲先輩が待ってくれているんですもん」
だから、辛そうな顔をしないで。
海さんだって、私と同じように、凪雲先輩のそばにいたいはずだ。
少なくとも私はそう思ってる。
凪雲先輩は、困ったように微笑んだ。
きっと、そうだよ。
目を覚ましたくないだなんて、思ってるわけない。
そう断言できるほどの自信が、なぜかあった。
同じ人に、恋をしているからだろうか。
「そうだと、嬉しいな」
凪雲先輩は、ハートのネックレスが入った箱を握り締めた。
愛が詰まったそれを包み込むように、強く、強く。
スタートラインを踏み越えて、境界をなくした今、私があなたを守ります。
曇った気持ちになっても、すぐに雲を吹き飛ばして明るく照らすように、私があなたのそばにいます。
私が、あなたの「晴れ」になる。