君待ち人
つぼみがほころんで、満開に咲けば、いいことが訪れるんじゃないか。
そんな期待を、根拠もなく抱いていた。
「凪雲先輩」
「ん?」
「凪雲先輩は、今でも海さんのことが好きですか?」
彼にとって、愚問だったかもしれない。
だけど、彼の口から聞きたかった。
返ってくる答えはわかっていても……わかっているから、きっぱりと振られたかった。
この恋は報われない。叶わない。
はっきりと知っておきたかった。自惚れたくなかった。
彼のことが好き。
きっと、彼の口から答えを聞かないと、想いがどんどん溢れちゃいそうで。
少し怖かったのかもしれない。
今日の青い空は、やけに薄く不透明な雲と遊んでいた。