君待ち人
epilogue ―待人―
一年後。
今日は、卒業式だった。
無事に式が終わった後、私は若葉公園で大きな桜の木を眺めていた。
「凪雲先輩、あれから一年経ちましたよ。いつになったら、会いに来てくれるんですか」
なんて独り言で愚痴ったって、言わずもがな返事はない。なおさら虚しくなるばかりだ。
私はもうすぐ高校三年生になる。その翌年には、卒業してしまう。
一年なんて、本当にあっという間だ。
凪雲先輩。
あなたは今、何をしていますか?
凪雲先輩が卒業して、気づいたら一年が過ぎていた。
あれから、彼の姿を見ていない。
まだ、約束は果たされていない。
ずっと待つとは言ったけれど、卒業してしまったら毎日のようにここに来れない。
凪雲先輩に会いたい。
だけど、すれ違いになったら……嫌だよ。
一年経っても泣き虫は直せず、涙腺が緩んだ。