君待ち人







放課後。



下駄箱で靴を履き替えていると、




「あれ?三吉?」




と、前方から声をかけられ、顔を上げた。


そこには、ジャージ姿の白河くんがいた。




白河くんはバスケ部に所属している。すごくバスケが上手らしく、先輩にも顧問にも認められているんだとか。




「今帰り?遅くね?」


「うん。ちょっと緋衣ちゃんと喋ってたら遅くなっちゃって」




緋衣ちゃんはテニス部に所属している。


私と長く話しすぎちゃって、大慌てで教室を飛び出して行っちゃった。


おかげで教室にはひとり取り残されて、なんか寂しかったなぁ。





「白河くん、部活頑張ってね」


「お、おう!また明日っ」


「じゃあね」



白河くんはさっきよりも機嫌が良さそうに、元気よく私に手を振った。私も手を振り返す。



なんで急に機嫌が良くなったんだろう。


まあ、白河くんが元気ならいっか。





< 30 / 278 >

この作品をシェア

pagetop