君待ち人
放課後。
下駄箱で靴を履き替えていると、
「あれ?三吉?」
と、前方から声をかけられ、顔を上げた。
そこには、ジャージ姿の白河くんがいた。
白河くんはバスケ部に所属している。すごくバスケが上手らしく、先輩にも顧問にも認められているんだとか。
「今帰り?遅くね?」
「うん。ちょっと緋衣ちゃんと喋ってたら遅くなっちゃって」
緋衣ちゃんはテニス部に所属している。
私と長く話しすぎちゃって、大慌てで教室を飛び出して行っちゃった。
おかげで教室にはひとり取り残されて、なんか寂しかったなぁ。
「白河くん、部活頑張ってね」
「お、おう!また明日っ」
「じゃあね」
白河くんはさっきよりも機嫌が良さそうに、元気よく私に手を振った。私も手を振り返す。
なんで急に機嫌が良くなったんだろう。
まあ、白河くんが元気ならいっか。