君待ち人




昼食の度に毎回、緋衣ちゃんはソレを好んで買っている。


飽きないのかな?




「メロンパン、美味しいんだもんー」


「そんなに?」


「ここのメロンパン、マジで美味しいんだって!」




この高校の売店のメロンパンを大絶賛する緋衣ちゃんに、朗らかに相槌する。



私はメロンパンよりも、クロワッサンの方が好きだなぁ。


なんて思いながら、私は卵焼きを頬張った。





今でも憶えてる。


昔、ある男の子と交わした約束を。

大好きだった男の子と共有した想いを。





私はまた、あの公園を眺めた。


公園の桜はどんどん散っていき、地面には大量の桜の花びらが落ちている。



儚く、そして美しいそれらは、まるで恋のよう。




「あ、これ美味しそうじゃん」


「え?……あっ!」




突然横から声が割り込み、すぐさま振り向くが、時すでに遅し。


誰かに私のお弁当からミートボールをつまみ食いされていた。



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