君待ち人
「明日は、土砂降りらしいね」
「そうなんですか?」
きっと明日どんなに雨が降っても、凪雲先輩はここで傘をさして待ち人を待つんだろうな。
私も、待とう。
待つって決めたんだもん。
「天気予報、外れるといいな」
どうか、この晴天の空が、陰りませんように。
もし晴れたら、彼の笑顔から辛さがなくなっていますように。
私は心の中で、空の遥か上にいるであろう神様に願った。
たとえ届かなくても、願わずにはいられないくらい、凪雲先輩が心配だった。
このまま彼の心が、跡形もなく崩れそうで。
不穏を帯びた気持ちをかき消すように、木漏れ日の数を数えた。