君待ち人
『定期テスト、自信ないなぁ』
私がそう呟くと、凪雲先輩は自分のカバンからこのノートを取り出し、私に差し出した。
『よければ使う?』
『え?』
『これ俺が一年の時に使ってたノート。生徒会の一年も定期テストやばいらしくて、俺が貸してたんだ』
『いいんですか!?』
『数学のノートだけど』
凪雲先輩は『使う?』ともう一度私に尋ねた。
私は即答で『はい!ありがとうございます』とお礼を告げて、ノートを受け取った。
家に帰ってノートを開くと、とても丁寧に書かれていてわかりやすかった。
私のノートよりも遥かに綺麗で。
一番数学が苦手だったから、すごく助かった。
「教えてよぉー」
「ふふ、内緒」
私ははぐらかすのはやめて、口元に人差し指を添えた。