君待ち人




『定期テスト、自信ないなぁ』



私がそう呟くと、凪雲先輩は自分のカバンからこのノートを取り出し、私に差し出した。




『よければ使う?』


『え?』



『これ俺が一年の時に使ってたノート。生徒会の一年も定期テストやばいらしくて、俺が貸してたんだ』



『いいんですか!?』


『数学のノートだけど』




凪雲先輩は『使う?』ともう一度私に尋ねた。


私は即答で『はい!ありがとうございます』とお礼を告げて、ノートを受け取った。




家に帰ってノートを開くと、とても丁寧に書かれていてわかりやすかった。


私のノートよりも遥かに綺麗で。



一番数学が苦手だったから、すごく助かった。







「教えてよぉー」



「ふふ、内緒」




私ははぐらかすのはやめて、口元に人差し指を添えた。



< 52 / 278 >

この作品をシェア

pagetop