君待ち人




緋衣ちゃんは幸せそうに笑みをこぼした。



私は両思いの幸せを感じたことはないけれど、きっと両思いになった女の子は、今の緋衣ちゃんみたいにキラキラ輝くんだろうな。




「ずっと妹としか見てくれてないと思ってたから、嬉しくて。昨日は眠れなかったよ」


「えっ、昨日告白したの!?」


「そうだよ。だから今日報告してるんじゃん」




緋衣ちゃんの行動力に、驚かざるを得ない。


緋衣ちゃんの目元をよく見ると、少し赤く腫れているのがわかった。



昨日、泣いたのかな。


嬉しくて嬉しくて、きっと泣いたよね。




泣くほど嬉しい。

そんな気持ちが、恋をすると訪れるんだ。



私も約束の男の子が来たら、泣いちゃうのかな。……泣いちゃいそうだなぁ。





「幼馴染なの?」


「うん、まあ、そんな感じ」


「へぇ~、そっかぁ。おめでとう、緋衣ちゃん」


「ありがと、桜」




緋衣ちゃんはくすぐったそうに俯いた。




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