君待ち人
「うめっ」
あぁ……、大好きなミートボールがぁぁ……。
私のミートボールを食べた犯人は、私の隣の席の白河 圭【シラカワ ケイ】くん。
イケメンというだけでも目立っているにもかかわらず、金髪というプラスアルファ付き。そのため、クラスの中でひと際異彩を放っている。
最初、ヤンキーかと思っちゃったくらいだ。
だけどたまに話すようになって、ヤンキーではないってことがわかった。それどころか案外優しい人だった。
まあ、たまにこういう風に食べ物を盗むんだけどね。つまみ食いはよくない。行儀悪いし。
「白河くん、また桜にちょっかい出してるー」
ミートボールのソースがついた指をなめる白河くんを、緋衣ちゃんがイヒヒと笑ってからかう。
白河くんの頬は少しだけ赤くなり、
「ちょっかいなんて出してねぇよ!」
と、やけに大きな声で否定した。
私はというと、元気だなぁと他人事のように思いながら、ウインナーをパクリと食べていた。
春になると、思い出す回数が増えてくる。
あの男の子のことを。そして、あの約束のことも。