君待ち人
「今雨降ってるよな」
「最近晴れが続いてたのにね」
「そういえば、俺、傘持ってきてねぇんだよな~」
さほど焦っていない様子で頭を掻いた白河くんとは正反対に、私は「えええ!」と自分のことみたいに案じる。
それは大変だ。
今日の雨は結構強いから、傘は絶対必要。持っていないと、家に着く頃にはすぶ濡れ状態だろう。
風がないだけマシだ。
「私の傘、貸そうか?」
昇降口の下駄箱前に着き、私は靴を履き替えながら言った。
どうせ、私がこれから行くのは家ではなく、学校の裏の公園だから走ればすぐ着く。
「それじゃあお前が濡れちゃうんじゃ……」
「私は寄るとこあるし、そこ近いから大丈夫」
「でも……」
「じゃあ、校門まで一緒に行こ。そこから傘貸すよ。ね?」