君待ち人
半ば強引に提案を押し通せば、白河くんは観念したみたいに了承してくれた。
校舎を出て傘をさそうとしたら、白河くんが「持つよ」と言ってくれたので、素直に傘を渡す。
身長の高い人が持った方がいいもんね。
折りたたみだから小さいけど、ぎりぎり二人入る。
私と白河くんは、私の傘に入り、校門まで一緒に行った。
「なんか悪ぃな」
「いいよ全然」
さっきから謝ってばっかりだ。気にしなくていいのに。
私だけ傘をさして、白河くんはすぶ濡れになりながら帰る。そっちの方が嫌だ。
あれ?
白河くん、わざと私の方に傘を向けてる。そのせいで、傘からはみ出た白河くんの制服は、びしょびしょに濡れてしまっていた。相反して、私はあまり濡れていない。
私のことを雨から守ってくれているの?
……優しいな、白河くん。
こういう優しさに、さっきの女の子は惹かれたのかな?
あっという間に校門の前に着いた。
「じゃあ、またね白河くん」
「またな三吉。傘サンキュ」
白河くんは困ったような笑顔で感謝して、私に背を向けた。