君待ち人
私は校門から、公園へと走っていった。
カバンを頭上に乗せて、一応盾にしているけれど、あまり役に立たず、それほど雨を防ぐことはできない。
ピシャッ。水たまりの水が、靴に跳ねる。
ザーザー……と降り続く雨の音が、耳の奥に響いた。
「はぁ、はぁ……。こ、こんにちは」
公園に着いた頃には、髪の毛や制服はびっしょりで。
傘をさして公園に佇んでいた凪雲先輩は、私の姿にギョッとした。慌てて駆け寄り、自分の傘に入れる。
「傘はどうしたんだ!」
「え、えっと……と、友達に貸しちゃいました」
私はカラカラと苦笑する。
念のために入れておいたお気に入りのタオルをカバンから取り出し、濡れている髪の毛を拭いた。
「なんで貸したんだよ!風邪ひくぞ」
いつもよりきつめな口調だった。
凪雲先輩、心配してくれてるんだ。
「友達が困ってたましたし、それに学校から公園まで近かったですし」
髪の毛を拭く手を一旦止めて、言い訳じみた理由をブツブツ並べていく。