君待ち人
「あ、もう大丈夫です。ありがとうございました」
今まで私の髪を拭いてくれた凪雲先輩にそうお礼を告げて、頭の上のタオルを取った。
結構乾いたなぁ。
次の問題は、制服だ。
体操服を上から着たかったけど、今日は体育の授業がなかったから体操服を持ってきていない。
「はい、これ」
凪雲先輩の声と同時に、ズボッと頭から何かを着せられた。
一瞬視界が真っ暗になってビビったが、すぐに暗闇から抜け出せた。
「え、これって……」
体操服?
もしかしなくても、凪雲先輩の?
「今日一回使ったものだからアレだけど、無いよりマシでしょ?」
「あ、ありがとうございます!」
「それに……その、透けてるし」
「えっ!?」
瞬時に自分を抱きしめて、前を隠す。
凪雲先輩の体操服を着ているから今は見えないけど、反射的行動で隠し続けた。