君待ち人





幼い頃、私は近所に住む男の子と仲が良かった。


校舎裏にある「若葉公園」という名前の公園で、飽きもせず遊んでいた。


毎日、毎日、楽しくて仕方がなかった。




ある日、男の子が引っ越すことになり、離れ離れにならなくてはいけなくなった。



だけど、男の子は若葉公園で、言ってくれたんだ。




『また戻ってくるから』



『大好きだよ』




と。



『私、ずっと待ってる』


その言葉が嬉しくて、私も涙を流しながらそう伝えた。



小指を出せば、男の子も小指を出し、私の小指と絡めた。


お互いの小指を結んで、「ゆびきりげんまん」と約束を交わした。






――それは四月。

私が六歳になったばかりの頃だった。



あれから十年。





名前も顔も、曖昧にしか思い出せなくなってしまったけれど。


私の心にはまだ、あの男の子への想いが溢れてる。




< 7 / 278 >

この作品をシェア

pagetop