君待ち人
幼い頃、私は近所に住む男の子と仲が良かった。
校舎裏にある「若葉公園」という名前の公園で、飽きもせず遊んでいた。
毎日、毎日、楽しくて仕方がなかった。
ある日、男の子が引っ越すことになり、離れ離れにならなくてはいけなくなった。
だけど、男の子は若葉公園で、言ってくれたんだ。
『また戻ってくるから』
『大好きだよ』
と。
『私、ずっと待ってる』
その言葉が嬉しくて、私も涙を流しながらそう伝えた。
小指を出せば、男の子も小指を出し、私の小指と絡めた。
お互いの小指を結んで、「ゆびきりげんまん」と約束を交わした。
――それは四月。
私が六歳になったばかりの頃だった。
あれから十年。
名前も顔も、曖昧にしか思い出せなくなってしまったけれど。
私の心にはまだ、あの男の子への想いが溢れてる。