君待ち人
私は出場選手が集まる場所に移動した。
借り物競争って、どんなお題が出るんだろう。
「あれ?三吉さん?」
聞き覚えのある声が、背中に投げかけられた。声をかけてきたのは、相変わらず美人な生徒会長だ。
生徒会長のハチマキは、赤色。私と同じ軍だ。
「三吉さんも借り物競争に出るの?」
「会長もですか?」
「ええ、そうなの。お互い頑張りましょうね」
「はい!」
ふわりと柔らかく微笑まれ、私も自然と笑みをこぼした。
会長といると、なんだか穏やかな気持ちになる。
それに、凪雲先輩と似た優しさを感じる。
なんでだろう。
借り物競争が始まった。
最初のレースには、早速会長が出る。
「いちについて、よーい、ドン!」
パンッ!!、とピストルの合図が、グラウンドに響き渡った。
会長は運動神経も良く、他の人よりもずば抜けて速かった。
会長がお題のカードを手にして見ると、一瞬固まった。