君待ち人
ゴール先で笑い合っている会長と凪雲先輩の姿が、やけに鮮明に視界に映った。
見たくない。
衝動的に、目を逸らす。
どうして私、こんなに気になってるんだろう。
どうだっていいじゃん。
私には、関係のないこと。
そうでしょ?
何度も自己暗示して、数回深呼吸をした。
次は私の番。
私は「いちについて、よーい」という声に合わせて、レースの準備をする。
「ドンッ!」
ピストルの音が、うるさく鳴る。
私は他の人より若干遅れてスタートダッシュを切った。
私はあまり運動が得意じゃない。だからこの競技を選んだ。
私は一番最後にお題のカードを手に取った。
カードの内容を見る。そこには「大切な異性の友達」と書かれていた。
彼しかいない。
迷わず走り出した。